GLOKENメンバーが米作りをする理由と、R5年産新米の販売について

この半年、借りている田んぼをニチゲツ農園と名付け、米作りをしてきました。
GLOKENスタッフを中心に、県内外のけん玉プレーヤーや近隣の皆様のご助力を得て、無事に収穫を迎えました。長野県松本市の郊外(旧四賀村エリア)の大自然の中で、たくさんの生き物に囲まれて育ったお米、とても美味しく育ったので、販売も開始します。

・・・けん玉の専門団体がなぜ農業??
田んぼで、どろんこカップや、稲刈りJAM等といったけん玉関連イベントをしているとは言え、こうした疑問をお持ちの方も多いかと思います。

ズバリ!これはGLOKENを強くするためであり、そして遊びとは何か、を考え続けるためです。
ということで、このページではその理由と、米作りの軌跡を紹介しつつ、R5年産新米の販売受付をします。

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ニチゲツ農園のお米(R5年産新米)

色々とバックグランドが気になる方は以下是非チェックを!(文章:窪田保)

GLOKENメンバーが米作りをする理由


【その1】GLOKENを強くするため

3年近いコロナ禍を経験し、いつどんな変化があるか分からない世の中であることを実感しました。GLOKENはどんな社会情勢になっても、強かに生き残り、けん玉ワールドカップを始めとした諸活動を継続できる団体になりたいと思っています。これが、私たちが求める強さです。
極論を平たく言えば、「この仕事でメシが食えなくなったから辞める」、の可能性を極限まで無くしたいのです。もしくは、その選択がいつか来た際に、半年でも1年でも、ねばりたいのです。
食糧自給能力があれば、最悪でもメシは食える、というのは最強のセーフティーネット。後ろ向きのように感じられるかもしれませんが、仕事に集中できる環境づくりとして、すごく前向きで、「農業ができる」という経験値は大きな収穫でした。

※農園での資材や重機購入については別法人を作り、分離した会計管理をしています。現在は売り上げがほとんどないので、個人の立替にて稲刈り機等の中古機材を購入しており、けん玉収益やサポーター会員様のご支援で田んぼをやっている訳ではありません。

【その2】米作りは最高のスタッフ研修

これまで10年、社員研修の類が無い環境でスタッフ各人の力量に頼りながら法人運営をしてきましたが、次の10年に向かうには、チームとしてさらに強くなる必要があります。
そのためには、普段の業務とは違った角度で、仕事や生活、そして遊びを見つめ直すための時間と、それを日常化する仕組みが必要です。この答えも、農業(米作り)にありました。
身体を動かして考える事、課題をクリアすること、相当タフな作業であること、収穫の喜びがあること、自然のリズムを感じる事、等が米作りには紐づいてきます。
そして、今年実践してきたように米作りの場を「あそび場」としてイベントを開催することも、可能です。仕事の都合上、土日に農作業をすることも多いのですが、チームとして1つ階段を上った気がします。

また、何度か地元の新聞連載にて書かせて頂きましたが、田んぼご近所の皆様から、本当に親切にして頂いて、1年目の米作りができました。全員が県外出身というGLOKENスタッフ構成ですが、地域に受け入れられて日々を過ごせることを、改めて嬉しく思います。

【その3】遊びを扱う団体として、考え続ける

専門団体ではありますが、けん玉だけをしていると、肝心なけん玉に対する感性が摩耗します。
例えば、
・初めて何かにチャレンジするときの気持ち
・何かが上達していく過程にある喜び
・コミュニティの中の多様性を大切にする気持ち
・イベントや講座の制作に必要な想像力(お客様の立場を想像する)
・そもそも、遊びってなんだっけ
といった事です。

感性を摩耗させるのではなく、逆に磨き続けた先に、新しいアイデアや方向性が見えてくるはずです。日々のデスクワークの中でそうした感性を磨くことは難しいのですが、これを解決してくれるのも、農業です。
田植え、稲刈り、脱穀と、けん玉コミュニティの力を借りてやってきましたが、初めての挑戦に苦戦しつつも、段々とコツを掴んでいく過程は本当に楽しいものです。
また、労働の合間に自然に生まれる子ども達の遊び(泥あそび、ワラの山に転がる遊び、お花摘み、等々)はまさに原点です。

労働からの解放、気晴らし。
自由で、制限も強制もされない。
そこにあるモノを使って、遊ぶ人が自ら考えて、遊ぶためだけに遊ぶ。
やめたくなったら辞める。
そんな、遊びの美しさが見られました。

実は設立当時から、私たちの根底に流れているのは、「自分のあそび場は、自分で作る」ということです。そしてけん玉界の次世代を担う人々に一番感じ取って欲しい哲学も、ここにあります。

10年前、心の底から欲しかった私たちの「あそび場」は、けん玉ワールドカップです。開催場所や、ルール、国際的なコミュニティ、それらが持続可能なものにする仕組み(けん玉検定や、けん玉先生)もひっくるめて全部です。
今ではそこに、本当に多くの人が、遊びに来てくれるようになりました。このあそび場を通して、けん玉で世界をつなぎ、「できた!」や「楽しい!」が生まれる様子を感じることは、幸せなことです。嬉しさも、責任感も、当時の比較ではありませんが、日々支えてくださる皆様に感謝しています。

そんな私達も段々、イイ年した集まりになってきました。
今ある環境に満足するのではなく、身の回りに「自分のあそび場」を作り続け、自ら楽しみ、遊びとは何か、どうあるべきなのかを問い続け、その本質を大会やコミュニティの中心に据える努力を続けていきたいと思っています。

・・・と、長い文章を書き連ねてきました。全てはGLOKENが、ひいてはけん玉界全体がより強くなるため、そしてこれからけん玉に触れる人達がより長く楽しみ続けられる環境づくりのためだと思っています。
本当は他にも色々と考えはあるのですが、今回はこの辺りにしておきます。



とうことで、けん玉関係者で作った米を是非味わって頂きたく、次の項目では米作りの軌跡を紹介します!
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ニチゲツ農園のお米(R5年産新米)

お米作りの軌跡

【準備~田植えまで】準備から、田植えイベントまで

3月に田んぼを借りたのは、1年半以上使われていなかった休耕田。枯れた雑草を集め、野焼きからスタートです。4月の頭には、地区の全員で使う水路の清掃。春の重要行事です。
スタッフの祖父からトラクターをご寄贈頂き、カチカチの休耕田の土を起こしました(耕うん)。
耕うんの次は、水路から水を入れ始めます。田んぼに水を張ることが、人生の中にあるのかと、ドキドキ感がすごかったです。
しかし徐々に溜まってはくるのですが、途中から全然水が増えないのです。計算上は3時間程度でいっぱいになる筈なのに、、、
夜、田んぼを見に行くと・・・水がまったく溜まっていません。絶望感が半端なかったです。

翌日、田んぼの畔(あぜ)をチェックすると、もぐら(?)の穴があちこちにあり、また、多年草の根の隙間からも漏れているようです。スコップを持って手作業で、畔(あぜ)を一度切り崩して、穴を埋めながら塗り直しました。本当は畔シートを買って敷き詰めれば良いのですが、お金もかけられないので手作業で、昔ながらの泥の畔づくりです。

そして、ついに!田んぼに水が溜まりました!
あ~、田んぼに水が溜まっているのは、すごいことなんだと実感。1年の休耕があるだけで、田んぼはこんなにボロボロになるんですね・・・。
それでもまだ、保水能力は低く、次の重要ポイントは代掻き(しろかき)。
トラクターで、水を入れた田んぼをかき混ぜ、泥を均します。巻き上げられた泥が沈殿して、細かい穴を埋める事で、田んぼの保水力が発揮されるようです。

このころ、手押し式の田植え機が届いたのですが、私の不注意で壊してしまい、田植えは手でやると決めるのです。これが田植えイベント(=どろんこカップ)誕生秘話です。
5月20日(土)の田植えイベントの前日には、注文していた苗を引き取りに、育苗センターへ。すごい量で驚きました。ちなみに品種は「風さやか」という長野県オリジナル米です。しかし、収穫後の検査はしていませんので、パッケージには未検査米としか記載することができません。自然栽培米の直販もそうですが、農業に関する法律は中々難しいです・・・

そして、田植え&どろんこカップ開催!米作り前半のハイライトですね。
(イベント詳細はこちらへ https://www.gloken.net/jp/blog/202307041420/

稲の生長と、雑草の勢い

ニチゲツ農園は、自然の生き物に囲まれ、その競争の中で逞しい作物を育てたいと考え、除草剤や殺虫剤等の農薬を不使用にすると決めています。しかし肥料はどうするのか、という課題はずっと考えていました。そんな中、県内で無農薬、無施肥で米作りをしている小太郎さん(「小太郎米」で検索すると出てきます)と出会い、無農薬・無施肥での米作りを決意します。
肥料無しでも大きく育つのか、、、という心配はありましたが、株間を大きくとって、一株当たりが根を広げられる面積を大きくとれば大丈夫、という話を聞き納得です。強い根が分げつ(新しい茎がでる)を促して、田んぼいっぱいのお米ができるというイメージを持つことができました。こうした、先駆者との出会いに本当に感謝しています。

そんなことで、無農薬・無施肥、田んぼに入れるのは川からの水と日光という、自然栽培が始まったのです。当然、草が生えてきます。そこで登場するのが、草が小さいうちに取ってしまう器具。小太郎さんに教えてもらい、板にウネウネした太い針金(ビニルハウス用のワイヤー)を打ち付けていきます。これを田んぼの中を5日に1回程度ひくことで、若い雑草が抜けて稲がメインの田んぼになるとの事でした。

なるほど、と、この武器を作り、せっせと引きました。
稲は日々成長し、草は生えない・・・はずでしたが、どう見ても草もどんどん育っています。

結局6月後半~7月にかけては、稲の背丈を追い抜き、また別の雑草は地面いっぱいに蔓延っています。とてつもない勢いです。
これはもう・・・手作業で抜くしかない!と腹をくくり、炎天下の中の草取りを何度も何度も繰り返し行いました。
田んぼに入って、しゃがみ込むと、澄んだ水の中は生き物の楽園。他の田んぼと比べるとオタマジャクシの数も5~10倍はいるように思います。カエルは勿論、ミズカマキリ、ゲンゴロウ、イモリ、ヤモリ、そして無数の知らない虫たち。生き物同士が絡まり合い、相互に干渉しながらの生物圏の中で、稲は必死に根を伸ばし、分げつして太く、高く伸びようとしているのです。

田んぼの端から端へ、草を一回取り終えると、また前半部分がもう草が生えています・・・無限に草に対応する時間はとれないので、あとはもう放置するしかありませんでした。しかし一回でも稲の手助けができたことは、豊作に向けての力強いプッシュだったと思います。

実り~収穫

猛暑の夏。
松本市の旧四賀村エリアは雨が少ないエリアとされていますが、本当にほとんど雨が降りませんでした。7月後半からは水路は輪番制で、だれが何日の何時何分~何時何分までと厳格に定められます。その日に合わせて田んぼへ行き、貴重な水路の水を、入れさせて頂きます。

7月末のけん玉ワールドカップのため、10日間程田んぼを見に行けない期間がありましたが、戻ってきて見ると、穂が出て、花が咲いています。
稲の花を見たことがある方は、少ないと思います。咲いている期間も短く、かなり近づかないと分からない程小さく白い花です。みんなで苦労して、手作業で植えた苗が、3か月でこんなに大きくなるのかと、感慨深いです。いよいよゴールが見えてきます。

しかし、また分からないことがあります。稲刈りのベストタイミングはいつなんだ・・・。
9月に入る頃の悩みは尽きません。出穂から45日~50日というのが、一般的に言われるそうですが、9月早々に刈り取る田んぼもあるし、月末あたりにしようかと言っている人もいるし。
最終的に、9月16日(土)を稲刈りJAMというイベント日にして、告知しました。

バインダーという刈取り機(稲をまとめて縛って排出してくれます)を使い、1列ずつ刈っていきます。手で植えているので、列も整っていなく、また夏の間田んぼの中を歩いて草取りしたので、ボコボコです。そして、田んぼの端の方まで稲を植えていたので、操作はかなり難しく、コツをつかむのに苦労しました。端の方や、刈り損ねた稲は手作業で鎌を使って刈取り、紐で縛ります。そうしてできた束を干して、適切な水分量のお米にしていきます。

長野県では天日干しのことを「はぜかけ」と言い、はぜ棒を立てて、その上に束になった稲を干していきます。はぜ棒も、本当は高価なものですが、ご近所さんに譲って頂きました。
稲刈りイベントは総勢15人で、手分けしながら刈取り、とはぜかけを、繰り返します。稲刈りとは思えない最高気温34度の日で、休憩と水分を取り、とにかく熱中症にだけは注意して行います。結局翌日もスタッフ+有志メンバーで稲刈りをして、無事に終わりました。
稲刈りについては、連載を書いている地元の新聞「市民タイムス」にも書かせて頂きましたので、ぜひご覧になってください。

刈り取って、約2週間の「はぜかけ」を行います。
まだ、稲に穂が付いた状態なので、これを外す作業が、脱穀(だっこく)。足踏み脱穀機をご近所さんにもらったのですが、さすがに無理なのでハーベスターという機械で作業します。機械に吸い込まれた稲は、籾(もみ)と、藁(わら)に分かれます。わら切り機が一体になっているので、そのまま小さくカットして、田んぼに蒔きます。
これがまた土に戻って、来年のお米になっていく、という循環なのですね。

この籾を精米(籾殻をとる)して、玄米、または白米にすれば、食べることができます。
10月14日(土)に開催した、田んぼ作業をお手伝い頂いた方たちとの試食会では、脱穀体験をして遊んで、美味しい昼食をとることができました。

以上、半年間の米作りの記録でした。
田んぼでの栽培期間中、農薬も肥料も使わず、そのままの土と、川からの水のみで挑戦した初めてのお米づくりでした。たくさんの生き物に囲まれ、多くの雑草との厳しい生長競争の中で育ったお米です。いったいどんな味がするのか、是非、召しあがってください!

※今回紹介したメイン田んぼ2反(約2000㎡)の他にも、1反(約1000㎡)をお借りし、合計3反での収穫は精米ベースで約1400㎏となりました。そのうち約800㎏を販売しようと、今回オンラインショップにカートを作っています。

ニチゲツ農園のお米(R5年産新米)

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