ネパールけん玉プロジェクトへ参加して(報告記事)

2019年6月23日(日)、ネパールにて初めてとなるけん玉大会が開かれ、ゲストとして参加させて頂きました。結論から言えば、ネパールでのけん玉の想像以上の盛り上がりと、けん玉を心から楽しむ姿、お互いを応援する姿に感銘を受けました。これから益々広まるであろうネパールのけん玉。歴史的な日に、同席させて頂いたこと光栄に思いつつ、今後の展開にも微力ながら関われると嬉しいなと思います。

今回の大会は、数か月前に設立された、バクタプル市の小学校の校長先生らでつくるネパールけん玉ネットワーク(NKN)と、関西学院大学のボランティア学生が中心となり、開催されました。学校を単位とした大会で、現在けん玉を取り入れている4校から小学生80名以上が参加。

YOUTUBEやSNSきっかけが中心の現代けん玉世界展開の中では珍しいといえる、日本人先生と現地学校を中心にした広まりと、ネパールの教育環境との親和性の高さに驚きました。
広い運動場もなければスポーツや音楽等の授業も無いネパール。子ども達の成長に大切な、運動、健康、情操、といったことが、けん玉を使えば省スペースで楽しみながら増進できる。こうした成長がまた、学力の向上にも繋がるのではないか。
という視点から、けん玉が学校の中に取り入れられ始めています。
また、本当に教育的な効果やスポーツ能力の開発という点で効果があるのか、という科学的な調査も始まっています。

そんな中迎えた今回のけん玉大会。
関西学院大学の学生ボランティアの2名が各学校を巡ってけん玉を教えたり大会のルールを伝えたりと、現地の先生と協力しながら準備をされてきたそうです。前日には地元の記者20名に対しての記者会見を行う等、注目度の髙いイベントとなりました。

大会のまず最初の競技は、けん玉レース!
4つの学校の代表者たちが、大皿に乗せて、30m程をダッシュ。もしかめを5回して、また大皿に乗せたままダッシュして戻ります。けん玉を次の走者に渡し、それを繰り返します。

けん玉は現在、各学校に25本ずつ置いてあり、個人のけん玉は基本的にはありません。
みんなで使い、楽しめるように工夫されての競技。それも、けん玉の技が上手い子だけが楽しむのではなく、あくまで団体としての総合得点で競技をするという配慮も素敵だなと感じました。

派遣されている学生ボランティアさんは、派遣前に兵庫県伊丹市のNothing But Kendamaにてけん玉の講習を受けていますが、スキルという点では、ほとんど初心者です。
日本であるような、一般のけん玉大会を知らないからこそ逆に、どうすれば(少ないけん玉で)みんなで楽しめる競技にできるか、に特化しての大会運営へとなったのでしょう。

レース中の、真剣なまなざし、応援、叫び声。大会が始まってすぐに、けん玉の持つ力に、涙がでそうなくらい感動しました。その後、もしかめ大会や、トリックチャレンジも、想像以上にレベルが高く、またそれぞれの出場者の真剣さと、大会には出ずにボランティアスタッフをしている子どもたちの様子にも感銘を受けました。
けん玉をする生徒が心から好きでなければ、編み出せない大会方式と細やかな配慮。素晴らしい運営にたくさん勉強させて頂きました。

それぞれの部門の優勝者はありますが、総合結果は、学校単位での総合得点で決まります。
優勝は、市内からバスで1時間かかる、郊外の山の上にある小さな「チャンパック小学校」。開会式から来賓として同席されている日本大使館の吉岡参事官やJICAネパールの朝熊所長、大阪平野ロータリークラブの方々からトロフィーやメダルを受け取る子ども達の嬉しそうな姿から、大会に向けての一生懸命さが伝わりました。
また、終日大会運営で声を出し続けたNKN(ネパールけん玉ネットワーク)の中心人物、プンニャ先生の頑張りから、現地の熱意を感じました。

現地オンラインニュースに掲載された記事
http://nuwagi.com/5551/?fbclid=IwAR3b0UFx2HYYCUxO9xQH7d5Vx5iLttBWlf24Ff9ukpdSTdb2TdthujcugHQ
https://onlinemajdoor.com/?p=33078&fbclid=IwAR3qmdFWO3JkO2gWWOaM2_AIYG7hvcl4QaikGVQCLCt_SCA4YmIAisj7MSU

これまでに見たり、開催したりしてきたけん玉大会とは違う方式。でもけん玉を楽しみ尽くす気持は同じ。もしくはそれ以上。大会の途中で、技の披露なんかもさせて頂きましたが、目がキラキラ過ぎてまぶしかったです。

大会には22校のけん玉新規校の校長先生が招かれており、けん玉大会の様子をご覧になりました。今回、大阪平野ロータリークラブの皆様から約700本のけん玉も寄贈され、多くのけん玉新規校に寄付されます。
まだまだ多くの支援、サポートが必要だと思いますが、NKN、関西学院大学を中心に、確実に歯車が回り始めています。

大会後、月曜、火曜には、学校訪問や工場訪問を実施しました。
学校では、初めて見るけん玉に興味深々な子どもたち。
けん玉メダルチャレンジで使う、けんけんぱや、つるしキャッチ等から、もしかめ、とめけんまで。とにかくけん玉の事を好きになってもらいたいなと、ワークショップを現地の先生らとともに行いました。

25日(火)には、マオイストチャンド派によるゼネラルストライキが実施され、危険回避のための休校とも重なるなど、予定は常に流動的でしたが、現地でコーディネートして下さった皆さんのおかげで、安全に、開いている学校へ訪問することができました。雨季に入ったばかりのネパールですが、連日晴れて暑い中で汗だくになってのけん玉訪問。疲れもありましたが、それ以上に心から楽しそうにけん玉に触れる姿に、また来たいなと思う毎日でした。

また、日程途中には、在ネパール西郷日本国大使から食事会にお招きいただき、ネパールけん玉について報告する機会にも恵まれました。

開発途上国とよばれる国でのけん玉の持つ可能性はまだまだ計り知れません。
安価な道具で、かつ省スペースで楽しみながら、スポーツのエッセンスも詰まっているけん玉。今回、目の当たりにしたネパールけん玉大会、ならびに学校訪問にて、けん玉の持つ力の深さを再確認しました。

ネパールでは、けん玉人口の増加に伴い、自国でのけん玉製造が欠かせないフェーズが間もなくやってくるでしょう。教育・健康、製造・産業、そして将来はネパールけん玉オープンに世界中から選手がやってくるような観光資源としてのけん玉まで。関係者との意見交換会では、話が止ることはありません。

そして、けん玉大会や訪問した学校での光景以上に感銘と刺激を受けたのが、今後の展開を見据えて、日々遅くまで議論しているボランティア学生や関西学院大学の先生方の存在でした。
学生ボランティアの2名には、滞在日程中、ずっとお世話になり、毎日時間を共に過ごしました。大学3年生の彼女らの大会への準備、そして前任者の積み上げがなければ、今回のけん玉大会等の成功はあり得ませんでした。日々のがんばりに敬意を表すると共に、残り2か月の任期の健勝と活躍に心からエールを送りたいと思います。

益々広まりを見せるであろうネパールけん玉プロジェクトの今後に目が離せません。
関西学院大学の關谷教授から頂いたご縁に感謝しつつ、GLOKENもできる限りの協力をしたいと思います。また、ネパールにもどれる日を楽しみにしています。
(GLOKEN窪田)

▼ネパールけん玉プロジェクトについて

関西学院大学の国際ボランティアプログラムの皆さんが展開している活動。
2015年4月のネパールでの震災後、トラウマを抱えた子ども達を学校に行けるよう(もどれるよう)支援していた同チームがスタートしたのが、「2ドルde教材プロジェクト」。
3年間の教材支援の後、復興支援から教育支援へとシフト。
2017年からは学生ボランティアが現地に5か月間交替で滞在し、日本語の授業等を担当している。
運動場が無い学校が多く、そもそも体育や音楽という授業が無いネパール。
教育支援を行う中で、何がネパールの子ども達にとって必要とされるのかを検討した結果、
省スペースで手軽に運動ができる「けん玉」を取り入れる事に。
2019年2月には、学生が入っている2校でけん玉交流会を実施する等、盛り上がりを見せるなか、3月には学校の校長先生があつまりNKN(ネパールけん玉ネットワーク)が誕生。
2019年6月、今回の第一回ネパールけん玉大会開催。

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